最近、芸能人の仕事中のケガに
関するニュースをよく見かけませんか?
例えば、2024年11月にフジ「ドッキリGP」でタイムマシーン3号山本さんが肋骨骨折。
2022年には、松本伊代さんがバラエティ番組の収録中に落とし穴に落下し、腰椎を圧迫骨折。
とても痛々しい事故がありましたよね。
また、過去には、AKB48の握手会でメンバーが刃物を持った男に襲撃されるという痛ましい事件も発生しました。
特にこの事件は社会に大きな衝撃を与え、芸能人の安全確保について改めて考えさせられる出来事となりました。
芸能人が仕事中にケガをした場合補償があるのか?
ドッキリ番組などでケガをしてしまったら労災は適用される?
と疑問に思う方もいるでしょう。
この記事では、 芸能人の仕事中のケガに対する労災補償についてドッキリ番組などを中心に詳しく解説していきます。
芸能人のケガに対する補償制度を少しでも理解して安心してくださいね!
芸能人は華やかなイメージの裏側で様々な危険と隣り合わせの職業ですよね?
長年、多くの芸能人は、労働者とはみなされず、労災保険の適用外とされてきました。
これは、1988年に厚生労働省が出した芸能タレント通達というものが関係しています。
この通達によると、
●個性や人気が仕事の重要な要素で、他の誰かに簡単に代われない
●報酬は、働いた時間ではなく、成果によって決まる
●スケジュールは決められているけど、拘束時間は決まっていない
●雇用契約ではない
といった条件に当てはまる芸能人は、労働者とみなされないということになっていたのです。
そのため、仕事中のケガや病気でも、労災保険が使えず、治療費や休業中の生活費を自分で負担しなければなりませんでした。
これって、かなり不安定な状況ですよね…。
しかし、働き方改革や、芸能従事者からの声の高まりを受けて、2021年4月から状況が変わりました!
特別加入制度が創設され、芸能人も労災保険に入れるようになったのです
また、全国芸能従事者労災保険センター のような、芸能従事者向けの特別加入団体も設立されました。
これらにより、芸能人も安心して仕事に集中できる環境が整いつつあると言えるでしょう♪
ただ、まだまだこの制度の認知度は低いようです。
労災保険に加入すると、仕事中のケガや病気に対して、様々な補償を受けることができます。
具体的には、以下のようなものがあります。
補償内容 | 説明 |
療養補償給付 | ケガや病気の治療にかかった費用が補償されます。治療費の自己負担はなし! |
休業補償給付 | ケガや病気で仕事ができなくなった場合、4日目から休業補償が支給されます。 |
障害補償給付 | ケガや病気が原因で障害が残った場合、一時金または年金が支給されます。 |
遺族補償給付 | 仕事中のケガや病気で亡くなった場合、遺族に一時金または年金が支給されます。 |
介護補償給付 | ケガや病気で介護が必要になった場合、介護費用が補償されます。 |
これらの補償は、 芸能人だけでなく、スタッフや裏方さんなど、芸能関係の仕事をしている人なら誰でも受けられます 。
例えば、 給付基礎日額を1万円 に設定していた場合
●休業補償給付は、1日あたり8,000円(給付基礎日額の80%)
●死亡した際の一時金は、1,000万円(給付基礎日額の1,000日分)
給付基礎日額は収入に応じて自由に設定できますが、 高く設定するほど、保険料も高くなります。
ドッキリ番組で多いケガはどんなものがあるのか?
ドッキリ番組では、予期せぬ事態が起こりやすく、思わぬケガをしてしまうことも少なくありません。
例えば・・・
●骨折: 落とし穴に落ちて骨折、全治3か月! ⇒ 療養補償給付、休業補償給付
●後遺症: 爆破シーンで顔にやけど、傷跡が残ってしまった… ⇒ 療養補償給付、障害補償給付
●精神的なダメージ: 過激なドッキリでトラウマに・・・ ⇒ 療養補償給付
など、様々なケースが考えられます。
労災保険は、このような場合にも対応しているので、 安心して仕事に臨むためにも加入しておくことが重要です
ドッキリ番組は、視聴者に笑いを届ける一方で、出演者にとっては危険を伴う場合もあります。
では、制作会社は、どこまで責任を負うのでしょうか?
結論から言うと
制作会社には、出演者の安全を確保する義務があります!
これは、出演者が労災保険に加入しているかどうかとは関係なく 負わなければならない責任です。
具体的には・・・
●十分な安全対策:
落とし穴や爆破シーンなど、危険を伴うドッキリを行う場合は、事前に綿密なシミュレーションを行い、安全対策を徹底する必要があります。
●出演者への説明:
ドッキリの内容やリスクについて、出演者に十分に説明し、理解と同意を得ることが重要です。
●健康状態の確認:
出演者の健康状態に配慮し、体調が悪い場合は、ドッキリへの参加を見合わせるなどの対応が必要です。
●緊急時の対応:
万が一、事故が発生した場合に備え、救急体制を整えておく必要があります。
これらを怠った場合、 制作会社は、損害賠償責任を負う可能性があります 。
例えば、あるバラエティ番組で、出演者が高所からの落下シーンを撮影中にケガをしたケースでは、
制作会社が安全対策を怠っていたとして、 数千万円の損害賠償を命じられました 。
また、別の番組では、出演者がドッキリで精神的なショックを受け、PTSDを発症したとして、
制作会社が損害賠償責任を認め、和解が成立した ケースもあります。
これらの判例からもわかるように、 制作会社は、ドッキリ番組制作において、
安全確保を最優先に考え、細心の注意を払う必要がある と言えます。
制作会社は、 視聴者の期待に応えつつも出演者の安全を確保するという、
難しいバランス を求められる時代になっていると言えるでしょうね。
労災保険は、芸能従事者にとって心強い味方ですが、労災保険以外にも活用できる補償制度があります。
状況やニーズに合わせて、これらの制度も取り入れることができます。
1. 民間保険
(1) 傷害保険
仕事中のケガだけでなく、日常生活でのケガも補償してくれるのが傷害保険です。 入院給付金や手術給付金などが受け取れます。
(2) 収入保障保険
病気やケガで働けなくなった場合、一定期間、毎月収入を補償してくれる保険です。 長期療養が必要になった場合に備えて加入を検討するのも良いかもしれませんね。1
2. 共済制度
(1) 福利厚生共済
中小企業や個人事業主向けの共済制度で、病気やケガの保障の他に、慶弔給付金や健康診断補助など、様々なサービスを受けられます。
(2) 芸能文化協会
芸能文化協会のような団体に加入すると、労災保険に加入できるだけでなく、団体独自の福利厚生制度を利用できる場合があります。
3. ギグベースのタレントサポートプログラム
近年、ギグワークという働き方が注目されています。
ギグベースのようなプラットフォームを通じて仕事を受注する場合には、 タレントサポートプログラム といった独自の補償制度が用意されている場合があります。
例えば、ギグベースのタレントサポートプログラムでは、業務中のケガによる治療費や、他人を傷つけてしまった場合の賠償責任などを補償してくれます。
働き方が多様化する中で、芸能従事者向けの補償制度も今後ますます充実していくことが予想されますね。
ぜひ、ご自身の状況に合わせて、最適な補償制度を探してみてほしいです!
芸能人のお仕事は華やかですが、一方で危険と隣り合わせという側面もありますよね。
万が一の事態に備え、 自分を守るための行動 を心がけてほしいものです。
●企画内容と安全対策:
ドッキリの内容はもちろん、安全対策がどの程度とられているのか、事前にしっかりと確認しましょう。不安な点があれば、遠慮なく制作側に質問することが大切です!
●リハーサル:
特に、アクションシーンや高所からの落下シーンなど、危険を伴う場面では、入念なリハーサルを行い、本番と同じ動きを身体で覚えておきましょう!
●体調管理:
睡眠不足や体調不良は、思わぬケガに繋がることがあります。体調管理には十分気を配り、万全の状態で収録に臨みましょう!
●集中力を維持:
周りの人に気を取られたり、雑談に夢中になったりせず、常に集中力を保ちましょう。
●危険を察知する:
自分の感覚を研ぎ澄まし、「何かおかしい」と感じたら、すぐにスタッフに相談しましょう! 自分の身は自分で守る!という意識が大切です。
●無理は禁物:
体調が優れない時や、危険を感じた時は、勇気を出して「NO」と言いましょう。 自分の健康と安全を最優先に考えることが大切です。
時代は変化しています!
積極的に声をあげよう!
以前は、芸能界では、言われたことを黙ってやるのが当たり前という風潮もありましたが、時代は変わってきています!
芸能活動中のケガ、誰にでも起こりうる問題ですよね?
芸能人が仕事中にケガをした場合補償があるのか?
ドッキリ番組などでケガをしてしまったら労災は適用される?
これらについてお伝えをしてきました。
・2021年4月から労災保険に芸能人も入れるようになった
・ドッキリ番組は特に用心が必要
・断れない文化を失くさなければいけない
時代は明らかに変わってきています!
芸能界でも 労働環境の改善やハラスメント対策 への意識が高まってきています。
より良い芸能界を作るために 積極的に声をあげていってほしいものですね。